相談時の状況
相談者は数年前より独り言や一人笑いが増え、幻覚・幻聴が続き、突然家を飛び出し、警察に保護されるなどの奇行が頻発していました。家族が心配して受診を勧めても拒否し続け、混乱状態のまま遠方へ移動したり、記憶が途切れる期間があるなど、周囲が状況を把握できない時期が続きました。その後、妄想が激しくなり、意味不明な言動や興奮、家族への暴力行為も見られるようになり、警察への通報をきっかけに精神科へ緊急入院となりました。入院中は隔離が必要なほど興奮状態が重く、治療により徐々に落ち着いたものの、退院後は自宅での生活が困難になりました。症状は改善と悪化を繰り返し、複数回の入院治療が必要となり、自立した生活も就労も不可能な状況でした。
社労士による見解
統合失調症の障害年金申請では、精神症状の重さに対して、日常生活がどの程度破綻しているかが最も重要です。今回のケースでは、妄想・興奮状態による危険行動、日常生活動作の自立不可、意思疎通が困難、現実検討能力の欠如、入院を繰り返さざるを得ない重症度が明確であり、障害基礎年金2級相当の状態が長期間続いていました。
相談から申請までのサポート
本人の記憶が曖昧なため、家族から詳細に聞き取り、妄想や幻覚の出現時期、行動異常が生活に与えた影響、各時期の受診状況と入院歴などを時系列にまとめました。診断書作成依頼の際は、統合失調症は症状が外から見えにくいため、これらの情報を「生活状況等申告書」としてまとめ、主治医に伝えしました。病歴・就労状況等申立書は、 さらに家族の負担や介護状況についても、本人の状態理解の補足として適切に整理しました。
結果
審査の結果、相談者は 障害基礎年金2級 に認定されました。年金の受給により、家族は介護体制を整えやすくなり、相談者自身も治療を継続しながら少しずつ安定に向けた環境を整えることができています。







社会保険労務士法人ウィル

