傷病手当金と同一の傷病による障害厚生年金を受けている場合、傷病手当金は支給されません。ただし、障害厚生年金の額(同一支給事由の障害基礎年金が支給されるときはその合算額)の360分の1が傷病手当金の日額より少ない場合は、その差額が支給されます。
つまり、障害年金よりも傷病手当金の方が高額な場合は、障害年金の分、傷病手当金が調整(減額)されます。2つの制度から受給できても、トータルでもらえる金額は増えません。
傷病手当金よりも障害年金の方が高額な場合は、障害年金は満額支給されますが、傷病手当金は支給されません。
また、障害厚生年金を過去に遡って受給した場合(遡及請求した場合)も、傷病手当金と支給期間が重なる部分があれば、受給済の傷病手当金(の一部)を返金する必要があります。
このように、同一傷病により傷病手当金を受給していても、同時に障害年金を請求することは可能です(原則として初診日より1年半を経過していることが必要です)。
傷病手当金の支給期間が終わっても、障害年金の次回更新時までは途切れなく年金を受給できるという面では、この2つを同時期に請求するメリットはあるといえます。
しかし、傷病手当金と障害厚生年金の支給期間が重なる部分に関しては、調整があるということはご承知おきください。
※傷病手当金と同一の傷病であっても、受給しているのが「障害基礎年金のみ」の場合(国民年金加入期間、20歳未満または60歳以上65歳未満の年金未加入期間に初診日がある場合)は、傷病手当金の調整はありません。
調整があるのは「障害厚生年金」を受給している場合です。障害厚生年金2級以上の場合は、障害基礎年金部分も含めた金額で傷病手当金が調整されます。